「新宿伊勢丹本店英国展2025」の舞台裏を公開!vol.4
- 直 野村
- 3月14日
- 読了時間: 4分
更新日:4月6日

今回は第4回で、いよいよ製造の話です。
面白いくらい失敗しました
英国展のような大きな催事の製造で気を付けるべき点は、オーブンの扱いです。
たとえばケーキはふだん、1種類につき2台ずつ焼きます。
そのくらいだったらオーブンの温度が一気に下がらず、タイマーをセットすれば時間通りに、ぱーん、とオーブンキックしてよく膨らんで焼けます。
ケーキを一度に8台も入れると、生地の温度が低いのと、蒸発する水分が多かったりするせいで、オーブンの温度が一気に下がります。
すると、じわりじわりとしか膨らまないため、生地の中の気泡が小さく目が詰まった感じになります。
まだ焼ければいいんですが、生焼けになることもあります。
英国展用のキャロットケーキは、そのせいでずいぶん自分たちのおやつや、近所のおすそわけに変身させてしまいました、、、。
だんだん笑えなくなる
他にも、ヴィクトリアサンドイッチケーキなんて基本の「き」のケーキですが、同じ高さに焼けなくて実力のなさを痛感させられています。
英国展に選ばれて出展されているお店が作るケーキのきれいなことといったら、惚れ惚れしてしまいます。
製造が佳境に入ってきて、発送しなければいけない日が近づいてくると、「失敗が今でよかったわあ」「学びがあるねえ」なんてのん気なことは言ってられなくなり、目が血走ってきます。
バラブリスなんてパウンドケーキみたいなもんだろうと、まとめて焼いていたら大きな気泡だらけで、数えるのが嫌になるくらい失敗しました。
主な原因は生地の捏ね具合が甘かったり、型に生地を入れた時にトントンして空気を抜くのが優しすぎたことでした。
生地の温度が低すぎても良くないらしく、「何ごとも経験だ!」と知らないお菓子に飛びついた授業料は、全部売れても回収できないほど高くつきました。
ついでに、父の威厳も地に落ちました。
冷凍庫大活躍
今回、新しい縦型の冷凍庫を購入しました。
理由は3つあります。
1つめは、冷凍ストッカーが古くなって扉の締まりが悪くなったこと。
2つめは、オンラインストアで販売している冷凍商品の出荷が増えてきたこと。
そして最後の3つめは、英国展向け冷凍商品を一度にまとめて出荷したかったこと。
特に3つめが大事で、毎日ちょっとずつ出荷すると、受け入れ先の三越伊勢丹さんに迷惑がかかるだけでなく、複数の冷凍庫に分散して保管されるので探す手間が増えます。
去年の日本橋三越本店英国展では他の荷物に紛れてしまったこともあり、1つ紛失してしまいました。
それで今回はどうだったかというと、大型プレハブ冷凍庫にOHISAMAの段ボールを全部保管してくださっていたおかげで、紛失ゼロで済みました。
新しく冷凍庫にはこんなメリットもあります。
古いストッカーは上に扉が持ち上がるタイプで、底の方にある食材を見つけにくかったり、気が付いたら消費期限が切れていたり、いろんな問題がありました。
しかし新しいのは観音開きタイプなので、どこに何があるか歴然としているし、新しい食材を後ろのほうに、古い食材を前のほうに置くことができて、とても使いやすいです。
配送の工夫
去年の夏に開催された日本橋三越英国展では、冷凍便で送ったいくつかの箱が温度差のせいで湿気てしまい、潰れて中の商品がだめになったことがありました。
そこで冷凍耐性のあるプラスティックケースに入れて運ぶことを検討しました。
しかし1つあたりの単価が段ボールの5~10倍するのと、持って帰るのにもお金がかかるため、最後まで悩んで諦めました。
最終的にどういう方法をとったかというと、要らなくなった段ボールをカットして、内側に立てて仕切りに再利用しました。
納品されてくるジャム用のガラス瓶は、箱を開けてみると段ボール製の仕切りがたくさん入っているのを見たのがヒントになりました。
うつぶせになって箱の上にお腹を乗せる実験(なんの検証やねん)をして潰れなかったので、「大丈夫じゃろ」と送ることにしました。
いくつかはダメになるだろうなあと思っていたけど、まさかの全員元気でした。
丁寧に運んで下さったクロネコヤマトさん、設営や補充をしやすいようにひとまとめにしておいてくださった三越伊勢丹さんにも感謝!
今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。
次回は上京するところを書けなかったので、上京から本番前日の設営までをお話していきます。
書いている人

ノムさん
広島生まれ広島育ち
宮島でパン屋を創業し、現在は廿日市で英国菓子屋をやっています。
趣味はガーデニングとサッカー観戦です。
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