直 野村
スコーンを焼くようになったきっかけ
観葉植物をお店にたくさん置くようになってよかったのは、新緑に気がつくようになったことです。
いつも「水は足りているか」「病気になっていないか」と目を皿のようにして観察しているせいで、出かけた時に街路樹や足元の草でさえ、「おっ、出てる」と淡い緑色に目がいくようになりました。
タイマーをセットし忘れるとか、卵を割りながら中身の方を捨てるとか、もっと大事なことに気が向くようになればなあ、と思わなくもない今日この頃です。

スコーンを焼くようになったきっかけは、「窯の熱がもったいない」の気持ちからでした。
あと、薪代も(笑)。
もらえる薪がいっぱいあるときはいいのですが、ない時はないのでお金を払って買うわけで、そうするとまるで札束を燃やしているような気分になります。
だから窯に熱が残っていると、とことん使い切ってやろうと。
食パンを焼くときの温度は大体、250℃よりちょっと高いくらいです。
窯の中の場所によって結構差があるから、平均したらそのくらいです。
砂糖が控えめで、水分が多く、型にも入っているので、それくらいの温度が必要になります。
一方でスコーンは、糖分が比較的多くて、水分が少なくて、型にも入っていないので、250℃とかで焼くとすぐに焦げてしまいます。
つまり、食パンを焼き終えて温度が下がった「もったいない」温度帯が実は、スコーンを焼くのに適しているんですね。
それでスコーンを焼くようになりました。
薪窯は炎で温め終わった後は、温度はひたすら下がり続けます。
それを緩やかにするために、たくさんの耐火煉瓦や赤土に厚みを持たせて、蓄熱量を増やして温度を下がりにくくする工夫をしています。
朝2時間火入れしたくらいでも、翌朝は200℃くらいあります。
スコーンを焼かずに何を焼くのかって感じです。
広島県の集中豪雨災害を経験してから、間伐材をもっと使って森を健康にせんとなあ、とか今でこそ思うようになりましたが、きっかけは貧乏性だったということです。