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日本橋三越英国展2025 その⑥

  • 執筆者の写真: 直 野村
    直 野村
  • 7月26日
  • 読了時間: 6分

更新日:8月14日


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日本橋三越英国展2024と新宿伊勢丹英国展2025を経て、日本橋三越英国展に今年もまたお声をかけてもらいました。


PART1は8月19日(火)スタートで、ノムさんのOHISAMAはその後半23日(土)から25日(月)まで3日間の出展予定です。


出展までの舞台裏を描くことで、みなさんが英国展をもっと楽しんでもらえたらなと思って、このブログを書いていきます。


どうぞ、楽しんで読んでみてくださいね。


今日は6月に上京して、英国展で知り合ったお店を訪ねた時の最後のお話です。


そのお店とは。



あこがれ


帰省する日にお会いしたのは、Three Tiersの新宅さんと一ノ木さんです。


お二人の輝かしい経歴やお菓子、それにテーブルウェアやインテリアが華やか過ぎて、広島にいるときからずっと憧れていました。


1年前、日本橋三越英国展に初めて呼んでもらったときは直接話しかけるのはどうかと気後れして、実はいろんなつてを使って紹介してもらう約束を取り付けていました。


しかし予想に反して英国展が忙しく、紹介してくれる人と会う時間が取れなくて、泣く泣く広島へ帰ることになりました。



後悔先に立たず


広島に帰ってきてモヤモヤしていたら、親戚の経営者から「直ちゃん、失礼はあっちゃいけないけどビジネスはちょっと図々しいくらいじゃないと」と図星を突かれました。


その言葉に背中を押され、今年3月の新宿伊勢丹英国展で一ノ木さんが翻訳されたお師匠さんの本を購入したら、まさかご本人がブースの前まで出てきてくれて本にサインやイラストを描いてくださったり、新宅さんを紹介してもらえたり、「お店に遊びに来て下さい」と声をかけてもらう急展開になったのは以前のブログに書かせてもらった通りです。



Bake On Wednesday 舞


ところで約束のお会いする時間は午後からでしたので、気になっていた西新橋にあるBake On Wednesday 舞さんへもお邪魔しました。


そしてなんと衝撃の事実が。


オーナーの徳山さんは、広島にあるOHISAMAまで来てくれたことがあるそうです。


これは嬉しかったです。


お店がビジネス街にあるため土日は人が歩いていないとか、お店は2坪もなく電源の関係で使える調理器具が限られているなど、なかなか厳しい環境で英国菓子を製造販売されておられます。


そんな条件下で、夜はお店の前にテーブルを出してお酒も出されたり、近所のお店とコラボしたり、やりようがあるんですね。


今度の日本橋三越英国展にも同じタイミングで出展されるそうです。


再会するのが今から楽しみです。


◆Bake on Wednesday 舞



The British Shop


その後、Three Tiersさんとの約束の時間までまだちょっと時間があったので、渋谷にできて間もない英国食材のお店まで足を延ばし、見たこともない調味料にいちいち声を上げて驚き、英国食料品店の雰囲気を堪能したのでありました。


地下鉄銀座線の渋谷駅から地上に降りてすぐの場所にあります。


東京にいたら通うんだけどなあ。


◆The British Shop



そこから京橋にあるThree Tiersさんへ向かい、何かの本でビジネス上の挨拶はかしこまった形式的なものよりも「こんにちは」がいいと書いてあったのを思い出し、迎えて下さった新宅さんと一ノ木さんに大きな声で「こんにちはっ!」と挨拶。


それが良かったのどうかさっぱりわかりませんが、和やかな雰囲気で始まりました。


新宅さんが淹れてくださった紅茶が真っ黒で、「なんで今ここでアイスコーヒーなんだろう、、、」と不思議に思いながら飲んでみたら、見た目に反してすっきりした甘みのあるガチな紅茶で恥ずかしくなりました。


まだまだ知らないことばかりです。


一ノ木さんが作ってくださった売り切れ必至のキャロットケーキとレモンドリズルケーキが絶品で、「ケーキの生地ってこんなにしっとり仕上げられるんだ」「スパイスやレモンの香りってこんな風に利かせるんだ」と何から何まで自分たちと作るものが違って、椅子からずり落ちそうになりました。


何を尋ねても歴史や現地のエピソードを交えて説明してくださって、お二人はとにかく話が面白いんです。


今度の英国展にパスティを作っていく話をしたら、「産業革命の頃に生まれて、もともと労働者の食べ物で忙しい合間に食べるから、具の半分は惣菜でもう半分はりんごで、食事とデザートを同時に済ませていたんです。今でもだいたいの駅でいろんなパスティが売っていますよ」とこんな感じ。


ウェルシュケーキにしても、「ウェールズの中でも田舎のお菓子だから日本で広めるよりもそっとしておいて、向こうの田舎で楽しむのがいいんじゃないかと思いますけどねえ」と視座が全然違うんですね。


ノムさんは新しい英国菓子を発見したらすぐに作って紹介したい気持ちが強いので、もう苦笑いするしかありません。



不易流行


一ノ木さんは正当な英国菓子の継承者です。


なので、たとえばヴィクトリアサンドイッチケーキは上下のスポンジケーキはそれぞれ分けて焼かないとヴィクトリアサンドイッチケーキとは呼べないとおっしゃいます。


イギリスのスコーンの形は丸だけがスコーンと呼べるので、それ以外の形はビスケットと明確にされていて、ノムさんは本当に帰りたくなりました。


ファッジみたいに製法は昔からあるものを厳守しながらフレーバーでアレンジするのはよしとしても、変えてはいけないものが英国菓子にはあるんです。



英国展の知られざる歴史


英国展は初期の頃、まだそれほどお客様が多くなくてむしろ少なかったんだそうです。


それが地方の小さな店にも声をかけられるようになってから、出展社数が増え、徐々ににぎやかで大きな催事へと成長。


さらに三越伊勢丹さんの企画会議にも参画するようになった新宅さんやBREW TEAの山家さんの人脈で、本場イギリスからお店を招へいするようになって人気が決定的になり、今に至っています。



金言


英国展がここまで人気になるとは思っていなかったと謙遜されるその一方で、「現在の人気は過熱気味でいつかはブームが去るだろうから、そのときにお店として残ってお客様に選ばれるようになっておかないとね」と、有り難すぎる金言を頂戴しました。


そのためにも美味しいお菓子で英国展を盛り上げてくださいとも。


ノムさんが初めて呼んでもらったときには、もう既にとんでもない人出でしたのでまさか静かな英国展があったとは知りませんでした。


こんな方々がおられるからこそ、三越伊勢丹さんの英国展は品と格が守られてるんですね。


スイッチが入りました。


大人の文化祭らしく出展者みんなで盛り上げることも大事です。


でもそれと同じくらい、伝統的な本物の英国菓子を提供しないといけないことが身に染みた一日となりました。


◆Three Tiers


帰りの新幹線の中でふと、「お名前は覚えられませんが、お客様がどの席に座って何を召し上がったかは覚えておけるんです」と一ノ木さんがさらっと言っていたのを思い出しました。


「だから次に会ったときにお客様にそのことをお伝えして話のきっかけにしているんです」


もうThree Tiersさんを追っかけるのはやめにしました。


背中が遠すぎて見えません。


今日も最後まで読んでくださって有り難うございました。


次回は荷造りやイギリス取材計画の話です。




書いている人


ノムさん


広島県廿日市市で「英国菓子と紅茶のある暮らしOHISAMA」で英国生まれの古いお菓子を手づくりしたり、英国製の紅茶を楽しんでもらうお店をしています。


◆SUNDAY MARKET(オンラインストア)

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