直 野村
訳ありスコーンの行方
外気温が高くなると、比例して工房の温度も高くなって、それはパン酵母が活発化することを意味します。
で、昨日はやってしまいました。
発酵がいきすぎて、おひさまパン(食パン)が全滅。
ご予約の多い日曜日なのに。
一斉に電話してお詫びしたところ、「形が悪いだけなら買いますよ」と言ってもらえたり、すぐに予約し直してもらえたことが唯一の救いでした。

新しく作るスコーンは試作を繰り返します。
少量なら自家消費してしまいますが、メロンパンスコーンのように作っても作っても上手くいかない時は、鬼のようにたまっていきます。
いわゆる「訳あり」になります。
他にも大量に買っていただいて特定の商品が棚から無くなった時、「訳あり」スコーンが生まれてしまう場合があります。
気が焦って、冷蔵して生地を引き締める手順をすっ飛ばして焼いてしまい、ダレちゃうんですね。
自家消費もできないし、職人として売りたくもありません。
そんな時、一度焼いたパンや焼き菓子をタルトの台にできるレシピがあることを知りました。
まず、フードプロセッサーで粉々にして、水や牛乳で水分を補って柔らかい生地にします。
それを成形して焼くと不思議なことにちゃんとくっついてタルトの台になります。
スコーンの持っている水分にもよりますが、水分を足しすぎると作業台にくっついて余計な(打ち粉、手粉としての)小麦粉を使わないといけませんし、少ないとボロボロと崩れて成形しにくいです。
タルト・タタンの台を作った時、どっちかといえば水分多めでやった方が作業しやすかったです。
あとコツとしては、しっかりと細かく潰した方が生地同士が結着しやすいです。
手で潰すと荒くなって隙間ができやすいです。
あとあとですね、砂糖を使わないパート・ブリゼと違ってスコーンには砂糖が入っているので、焼き時間を少し短めにしないと焦げてしまいます。
気をつけてください。
こういうことを言えるのは失敗した経験があるということです(笑)。