top of page

月間Fudge6月号「ファッジとトフィーとキャラメルの違い、わかりますか」

  • 執筆者の写真: 直 野村
    直 野村
  • 6月4日
  • 読了時間: 4分

はじめに


英国菓子を作っているとトフィーがよく登場します。


英国PUBのマストアイテム「スティッキートフィープディング」にかかっているトロトロのキャラメルソースのことです。


ここでキャラメルと表現したように、トフィーも、キャラメルも、そしてファッジも、味わいとしてはとても良く似ています。


大きく違うのはその食感です。


ではなぜその食感が違うのでしょうか。


それぞれのレシピや、作り方を比較していくと、1年前の夏、英国展の準備で何百個とファッジを無駄にした原因がわかってきます。



トフィーの作り方


トフィーはグラニュー糖とバターと生クリームで作ります。グラニュー糖を鍋で熱して溶かします。


あめ色になって煙がもくもくと立ってきて、さらに熱すると焦げ茶色、そして真っ黒になります。


ノムさんは飴色から焦げ茶色に変わり始めたところで火を止めて生クリームをちょっとずつ入れて混ぜ合わせます。


グラニュー糖を焦がし過ぎるとそれはそれで香ばしく仕上がって美味しいのですが、トフィーが完成して冷蔵庫で保存している間に固くなってしまいます。


するとプディングに回しかけたいのに、とろーっと落ちないんですね。


それから一気に入れると鍋からトフィーが飛び散ってやけどしたり、周りを汚すだけでなく、せっかく液状になったグラニュー糖が冷えて固まって生クリームと混ざりにくくなります。


これらの失敗は一通りやりましたから、面倒くさくてもノムさんを信じてやってください。


とにかくちょっとずつ注ぐことがポイントです。全部が混ざったらバターを加えて軽く煮立たせたら完成です。


まとめると、トフィーの特徴はソースとしての機能が必要なため、「ゆるい」特徴があります。



キャラメルの作り方


キャラメルは基本的にグラニュー糖とバターで作ります。少々固くなっても口の中で溶けてしまうので、グラニュー糖をどのくらい熱すればいいかについて神経質になる必要はないと思います。


最終的にキャラメルとしてよく見かける立方体の形になればいいので、包丁でカットさえできればOKです。


まとめると、トフィーよりは固く仕上がるけれど、それは問題にはならないってことです。



ファッジの作り方


ファッジには決まりきったレシピはありませんが、簡単で失敗が少ないのはグラニュー糖、練乳、牛乳、バターです。


ファッジは温めた牛乳に溶けた糖分が、冷えると液体の状態でいられなくなった糖分が再結晶化する性質を利用して作ります。


練乳には糖分がこれでもかとギリギリまで溶けているので、グラニュー糖を加えた分だけ再結晶化しやすくなります。


牛乳から溶かす手間が省けるので、ちょっとだけ時短になります。


サクサクした「食感命」のファッジを作るならデジタル温度計は必須かもしれません。


前にも書いたように、水の中に溶けたファッジの元を落として固まり具合で食感を想像するのは、ノムさんの二の舞になるだけです。


お菓子作りが趣味な人は持っておいて損はないですよ。


でもね、本場イギリスのファッジのYouTubeやTikTokを見ていると、電子レンジで溶かして混ぜて終わりみたいなのがとても多くて、なんだかなあと思うわけであります。


鍋に全部の材料を入れて120℃まで熱するとフニュサクに、130℃まで熱するとサクサクした食感に、140℃までいくと固いキャラメルになります。


温度が上がりやすい油脂の多いチョコレートとかを混ぜるとキャラメルになりがちなので、注意が必要です。


目標の温度まで上がったら、鍋の底を水に浸けて急冷したり、ヘラやホイッパーで混ぜて物理的なショックを与えて、糖分の再結晶化を促します。


まとめると、ファッジは温度管理とその後がとても重要ということです。



3つのスイーツ作りから言えること


トフィーやキャラメルの材料で温度管理をきちんとすれば、ファッジのようなものは作れます。


ただ乳製品が入ってない、あるいは含まれている乳製品が少ないのでコクや香りが足りないものになるかもしれません。


次回は基本のレシピとアレンジメニューについて書いていきたいと思います。

Comments


bottom of page