ノムさん、ウェルシュケーキの国へゆく DAY2
- 直 野村
- 10月26日
- 読了時間: 10分
更新日:6 日前

バスに乗ろうとしてクレジットカード決済がうまくいかないと、ノムさんの後ろに並んでいたおばあちゃんが自分のチケットを使ってと言ってくれました。
列車に備え付けのUSBで充電するのに手間取っていると隣のブースの女の子が床に膝と手をついて手伝ってくれました。
スーパーで買い物をすれば割引セールになるよう手伝ってくれたり、使い勝手の分からないセルフレジで格闘していると店員ではなく警備のおじさんが使い方を教えてくれました。
朝早い移動のためにタクシーをホテルのスタッフに予約してもらうと、パソコンの画面も見ないでノムさんの名前をタクシー会社に伝えてくれました。
あるウェルシュケーキ屋さんは列車の到着時間も伝えていないのに駅を降りたら待ってくれていました。
バスや列車に乗れば、乗客と運転手さんや駅員さんとの会話を楽しみ、日本人のノムさんにも「ありがとう」とか「良い一日を」と気さくに話しかけてくれました。
カーディフ城の前で記念撮影をしていると通勤途中にもかかわらず、地元の人が写真撮影を代わって撮ってくれました。
これはノムさんだから?
いやいや、見た目はけっこう怪しいです。((+_+))
そんな英国菓子屋のOHISAMAノムさんが見てきた、ウェルシュケーキの本場ウェールズを紹介していきますね。
それではロンドンから移動してようやくたどり着いた、ウェールズ滞在1日目の紹介です。
DAY 2
ロンドン・ヒースロー空港に到着して最初にしたことは、eSIMの接続です。
これができないと日本で予約したコーチ(長距離バス)やホテル、それに列車のQRコードチケットなどをスマホで表示できません。
日本でインストールしておいたeSIMアプリのHolaflyは、ロンドンに着いてオンに切り替えるだけですぐにつながりました。
これでプリントアウトしてリュックに入れてきたチケット類のお世話にならなくて済みそうです。
◆Holafly
ETA(電子渡航認証)
イギリスへの入国時に義務付けられているETA(電子渡航認証)手続きを日本で済ませていたので、パスポートと顔を機械で認証するだけで簡単に入国できました。
ETAは承認が下りるまで2、3日かかるとホームページに書かれていましたが、実際には申請してから数時間後にはメールで連絡が届きました。
◆ETA
イギリスと日本が友好国だからと思うんですけど、日本を含む何か国かは空いているゲートに誘導されるようになっていたので、ますます早く入国できました。
バッゲージクレームでスーツケースを受け取ったら、コーチ(長距離バス)の停留所があるCentral Bus Stationまで移動します。

スマホがつながってホッとしたので使い慣れているGoogleマップで誘導してもらったんですが、微妙にずれたりして遠回りさせられてしまいました。
はじめから空港内の標識に素直に従えばよかったです(>_<)
いちおうGoogleの名誉のために言っておくと、空港以外では大活躍でした。
コーチではなく、ウェールズやイングランドを走る市内のバスの時刻も正確に教えてくれて、移動時の大切な相棒になってくれたことに間違いありません。
コーチ乗り場で、運転手にスマホのチケットをQRコードリーダーで読み取ってもらったら、荷物を一緒に貨物室に詰め込みます。
さあ、いよいよウェールズの首都カーディフまで4時間の旅が始まりです。
交通系アプリomio
代表的なコーチにはNational ExpressとFlixがあって、時間帯も価格もよかった後者を選びました。
ちなみに列車だと1時間は早く行くことができますが、価格が数倍します。
予約にはomioを使いました。
◆omio
ヨーロッパを得意とする交通機関の予約サイトアプリで、列車もコーチも調べてくれて便利でした。
MumGu WelshcakesのあるSt Davidsへ行く列車もomioで予約しました。
鉄道やコーチの会社のサイトで購入した方が手数料がかからない分、若干はお得です。
でもアカウントを新しく作ったりするのは面倒だし、コーチだと次の時刻や前の時刻を調べるのに2つのコーチの会社を行き来してチェックしないといけないし、実際に使ってみたノムさんとしてはomioだけで十分な感じがしました。
コーチ(長距離バス)
車内にはトイレ、座席には充電器、Free Wi-Fiもありましたので快適そのもの。
ただ日本と違って電話し放題だし、音楽をイヤホンなしで聴く人もいるし、食べ物はぼろぼろこぼしながら食べてる人もいるし、そこは感覚を切り替える必要はあります。
まあ、1時間もすれば映画のワンシーンみたいに感じてきますのでご安心ください。
それに道中、牧草地が延々と広がるの単調な景色なのに、ひろしまでは生きている牛や馬、それに羊を見る機会なんてないので、車内の人たちのことなんていつの間にかきにならなくなっていました。

4時間のドライブなんてほんとうにあっという間で、イングランド・ブリストルとウェールズ・ニューポートを経由して、「だんだんと、牛や羊を見なくなったなあ」と思ったら予定の時刻にカーディフ城のすぐそばの停留所に到着していました。
これから歩き回るのにスーツケースはどうにもこうにも荷物になるため、カーディフで最初にしたことはホテルへスーツケースを預けに行くことでした。
ホテルは南へ下った海岸線にあったため、繁華街を抜けてカーディフ中央駅に隣接するバスターミナルまで、タイヤが壊れないようにスーツケースを軽く持ち上げながら歩いて移動しました。
バスターミナルは小さいわりにスタッフが多く、しかも明るく親切に対応してくれて、目的のバスはすぐに見つかりました。
そのときから「ウェールズすげーなー」と感じ始めていました。
ホテル
ホテルは英国菓子職人仲間から紹介してもらったPremier InnのCardiff Bayに宿泊しました。
◆Premier Inn UK
アパホテルみたいな感じです。
日本を出国する前、「改装工事でちょっとうるさくなるかもしれないからごめんね」ってメールが届きました。
ホテルを変えようか迷ったけれど事前に隠さずちゃんと言ってくれるんだから、良心的かもと思い直して予約はそのままにしました。
結果的に変えない判断は大正解でした。
その理由は次回お話しますね。
そうそう、イギリスの一般的なホテルと同様、Premier Innのスタンダードクラスの部屋には冷蔵庫が備え付けられていません(上のクラスの部屋には付いています)。
歯ブラシなどのアメニティーもありません。
シャンプー・リンス・ボディーシャンプーが一体型だったりもします。
戸惑うこともありますが、郷に入りては郷に従え、というやつで持参すればいいだけの話です。
あとご存知のように、日本とイギリスではソケットの規格が違うため、変換ソケットはマストアイテムです。
変換ソケットの話が出たついでに、モバイルバッテリーはお守り代わりに持って行く感覚でいいと思います。
イギリスのたいていの交通機関や飲食店ではUSBで充電できるようになっています。
だからずっと何時間もネットにつなぎっ放しでない限り、充電切れになる恐れはほとんどないと思います。
お守り代わりといったところでしょうかね。
話がちょっと脱線しました。
ホテルに荷物を預けてすぐに、晴れていたこともあって歩いて観光名所の1つになっている近所のMermaid Quayへランチをしに行きました。
Cardiff Bay
ここには世界各国のレストランが集まったMermaid Quayという飲食店街があります。

「ピザがこの値段かあー」「ハンバーガーにそこまで出せないなあ」とMermaid Quayで食事をするのは早々に諦めたノムさんがすすめるのもなんですけど、どのレストランも開放的なデザインで雰囲気がとっても良いです。
お腹がペコペコなノムさんは、「日本人」「ランチ」「倒れそう」「近く」で検索して、イギリスで有名な食品スーパーTESCOのEXPRESS(コンビニよりちょっと大きいタイプ)を発見し、そこでヨーグルトドリンクとラップサンドを買って港で食べることにしました。
それだって£10(約2000円)しましたが、背に腹は代えられません。
セルフレジの使い方で迷って警備のお兄さん(チェーン店規模のお店には必ずおられました)に質問したらお店の人を呼んでくれて、「今、セール中でこのスナックを2つ買うと全部が割引される」と謎の説明をされました。
それでスナックコーナーへ連れていかれて強制的に選ばされました。
「ひょっとしてあたいはカモ???」と新婚旅行先のどこかの国で勝手に撮られた写真を法外な値段で交わされそうな記憶がよみがえってきたんですが、会計してみたらスナックを足した後の方が安くなっていました。
神様、善良なウェールズの人を疑ってごめんなさい。
挙動のちょー怪しい外国人のノムさんなのに、なんていうか、親切にもほどがある出来事でした。
ホテルに戻ってチェックインし、日本橋三越英国展で友だちになったBakestonesのアダムさんと再会するために、バスに乗ってカーディフ中心街へ出かけました。
Cardiff Bus
バスに乗るには前から乗って、運転手さんに確認してもらいながら最初に支払いを行います。
金額は一律料金です。
目的地に近づいたらボタンで知らせて、後ろの方から降ります。
ホテルの近くからオレンジ色の車体が特徴的なカーディフバスに乗ろうとしたら、さっきは使えたクレジットカードが読み取り機でエラーに。

焦るノムさんに運転手さんは、「いいから、いいから、他のカードでやってみな」と待ってくれるし、後ろに並んでいた地元のおばあちゃんは、「あたしのカードを使って」と差し出してくれるし涙がちょちょ切れました。
最終的に、他のカードが使えて事なきを得ましたけど、今の日本でこんなに親切な人たちに出会えるのかなとちょっと考えさせられる出来事でした。
運転手さんと地元の人たちは、もれなく全員がお互いに笑顔で短い挨拶を交わしていて、日本人のノムさんがいつバスに乗っても、「Thank you」とか「Have a nice day」と言ってくれてそれだけでもバスに乗った価値がありました。
うーん、いったいどんだけ親切な国なんよ、ウェールズ!
Cardiff Bakestones
アダムさんはカーディフマーケット内にあるウェルシュケーキ屋のBakestonesにおられます。

カーディフマーケットは、古い倉庫の中に地元の食品や飲食店が立ち並んでいて、日本にはちょっとない雰囲気のある市場です。
カーディフを訪れたらぜひ立ち寄ることをおすすめします。
日本を出る前にBakestonesって面白い店名だなと思って調べたら、ウェールズではその昔ウェルシュケーキを石の上で焼いて作っていたそうなんです。
だからとても由緒ある店名なんですね。
それが時代を経て、家庭では薪の火で熱したグリドルと呼ばれるふちのない鉄板で焼かれるようになり、現在はガスの火とフライパンで焼かれることが多くなっているそうです。

*Making various kinds of griddle cakes: archive material from St Fagans: National History Museum
グリドルはBBQの調理器具としてAmazonでも買えます。
Brew Teaの山家さんから頼まれて手土産を持ってアポなしでBakestonesに行ったら、アダムさんはまさかのお休み。
ウェールズを発つ木曜日まで出勤しないことがわかりました。
そうしたらお店の人が仕事の手を休めて、いろんな人がノムさんに声をかけてくれました。
「いつ来たの?」
「どうやって来たの?」
「ウェールズは初めて?」
「どこに泊まっているの?」
「いつまでいるの?」
そしてみんなで相談し始めたと思ったら、ビデオ電話をアダムさんにつないでくれて木曜日に会う約束ができました。
なんて迷惑な日本人、、、。

写真のスマホを持っているお姉さんはノムさんとは初対面なのに、「来年は私が英国展に行くからよろしくね」とウェルシュケーキをたくさん持たせてくれました。

その夜にホテルで食べさせてもらいましたけど、あんなに親切な人達に作ってもらったウェルシュケーキは、これまでで一番おいしかったことは言うまでもありません。
今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。
次回はFabulous WelshcakesのJoさんとの交流のお話です。
書いている人
ノムさん
広島県廿日市市で「英国菓子と紅茶のある暮らしOHISAMA」で英国生まれの古いお菓子を手づくりしたり、英国製の紅茶を楽しんでもらうお店をしています。

◆SUNDAY MARKET(オンラインストア)



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