第2話「スコーンにクロテッドクリームを添えると、英国らしくなる」

皆さんはスコーンって、どうやって食べていますか?
そのまま食べる?ジャムをつける?
実はノムさん、以前はスコーンってそのまま食べるものだと思っていたんです。
広島で手に入るスコーンは、クッキー&クリーム味だったり、チョコレート味だったり、甘いお菓子のようなスコーンばかりでした。
だからジャムなんか塗ってさらに甘くして食べるなんて考えもしなったです。
実際、作っていたスコーンは甘いものばかりでした。
英国展に招待されるようになって、ノムさんのようなスコーンを焼いているお店は1つもなく、「え、え、えーっ!」と頭がパニックになりました。
ただ、歳はいってますが英国菓子業界では赤ちゃんみたいなものなので、旅の恥は掻き捨てとばかりに職人さんやオーナーさんを質問攻めにしました。
このように英国菓子を作るようになっていろいろ知るようになりましたが、ノムさんは最初から何でも知っていたわけではありません。
英国では、スコーンにクロテッドクリームとジャムを添えて、紅茶と一緒に楽しむ食べ方があります。
これが「クリームティー」。
名前だけ聞くと、クリームの入った紅茶みたいですよね(笑)。
でも、そうではありません。
今回は、スコーンをもっと楽しむためのお話です。
こんにちは。
OHISAMAのノムさんです。
英国のクリームティーでは、スコーンと一緒にクロテッドクリームとジャムが登場します。
スコーンを割って、クリームをのせて、ジャムを添える。
そして、紅茶をひと口。
スコーンだけを食べるのとは、また違った楽しみ方になります。
OHISAMAでも、スコーンにはクロテッドクリームと自家製ラズベリージャムを添えてお出ししています。
このラズベリージャム、甘みが強くて、まろやかな味わいなんです。
以前は季節ごとにいろんなジャムを炊いていましたが、英国滞在中に食品スーパーへ行くとフレッシュなラズベリーが必ず売られていたので、今ではそればかり作っています。
スコーンにクリームとジャムを合わせて、紅茶と一緒に楽しむ。
これが英国で親しまれてきた「クリームティー」です。
ところで、クロテッドクリームとジャム。
どちらを先に塗ると思いますか?
実は英国には、この順番をめぐるちょっとおもしろい違いがあります。
ひとつはデボン式。
先にクロテッドクリームを塗り、その上にジャムをのせます。
もうひとつはコーンウォール式。
こちらは先にジャムを塗り、その上にクロテッドクリームをのせます。
ノムさんはロンドンでレンタカーを借りて、コーンウォールへファッジショップを訪ねる旅をしたことがあります。
デボンとコーンウォールは、どちらも英国南西部にある地名です。
どちらも果てしなく広がる緑の畑と牧場ばかりなので、日本人には違いがさっぱりわかりません。
けれどそんなに似たお隣同士なのに、食べ方に明確な違いがあるんです。
どちらが正しいというより、それぞれの地域で親しまれてきた食べ方なんですね。
さて、皆さんならどちらから塗りますか?
OHISAMAでは、ぜひ自分の好きな順番で楽しんでくださいね。
では、OHISAMAのスコーンはどうやって作っているのか。
以前は生クリームとバターをがっつり入れて、砂糖もがっつり入れた甘い生地をベースにして、さらにチョコやマシュマロなどさらに甘いスコーンを作っていました。
けれどそんなスコーンはもう作るのをやめました。
英国展の出展者仲間に教えてもらったり、本場のティールームには日本に多くあるスコーンは出されないことを知ったからです。
そんなわけで今は甘みを抑えた、外はさっくり、中はしっとり、そんな食感を目指して作っています。
英国のレシピでは、小麦粉にベーキングパウダーや塩などをあらかじめ配合した「セルフレイジングフラワー」を使うこともあります。
日本ではほとんど出回っていないため、英国で親しまれている味に近づけるため、塩を少し加えています。
そして、もうひとつ。
生地にはヨーグルトを入れています。
これは、英国菓子のレシピ本をきっかけに知り合った、レイジーデイジーベーカリーの山中さんから教わったレシピなんです。
英国展で著書にサインをいただいたり、ブースが隣同士になったことをきっかけに仲良くさせていただいています。
英国菓子を作っていると、お菓子だけでなく、人とのつながりも生まれるんですよね。
スコーンに添えているクロテッドクリームは、コーンウォールで1890年に創業したロダス社のものです。
そして、ジャムはラズベリーを丁寧に炊いて作っています。
スコーンはご注文をいただいたらアルミホイルに包んでトースターで温めます。
背が高く、甘みがあるので焦げやすいからです。
このほんのひと手間が大事なんです。
スコーンだけでなく、クリームもジャムも一緒に味わってほしい。
そんな組み合わせで、OHISAMAのクリームティーを楽しんでいただけたらなと思います。
そして、クリームティーに欠かせないのが紅茶です。
OHISAMAでは、セイロン、インド、中国の紅茶やフレーバーティーなど、10種類以上をご用意しています。
スコーンに合わせて選ぶのもいいですし、普段は選ばない紅茶を試してみるのも楽しいものです。
紅茶をお出しするときに使っているのは、英国製のロンドンポタリーのティーポット。
厚みがあって保温性に優れているところと、色の種類が豊富なところが気に入っています。
一度にお出しする紅茶は、だいたい3杯分です。
ゆっくりおしゃべりしていると、紅茶が少し足りなくなることもありますよね。
そんなときは、必要に応じて差し湯もしています。
せっかくのクリームティーですから、慌てず、ゆっくり楽しんでいただきたいんです。
スコーンは、そのまま食べてもおいしいものです。
でも、クロテッドクリームとジャムを添え、紅茶と一緒に楽しむと、また違ったおいしさに出会えます。
外はさっくり、中はしっとりしたスコーンに、まろやかなラズベリージャムとクロテッドクリーム。
クリームを先にするか、ジャムを先にするか。
デボン式にするか、コーンウォール式にするか。
そんなことを考えながら食べるのも、英国菓子のおもしろさかもしれません。
次にスコーンを食べるときは、ぜひクロテッドクリームとジャムを添えてみてください。
いつもよりゆっくり、紅茶と一緒に召し上がってみてくださいね。
そうそう、OHISAMAのクリームティーにはファッジをお付けしています。
いつものお菓子が、ちょっと特別な時間に変わるかもしれませんよ。
書いている人 ノムさん
広島生まれ。英国菓子と紅茶のある暮らしOHISAMA代表。
公務員の家庭に育ち、大学を卒業後は食品会社に就職。一念発起して会社を退職し、宮島でパン屋を創業したものの繁忙期と閑散期のギャップから体調を崩し僅か5年で離島。その後、業種を変えながら再起を図るもうまくいかず、借金が2,500万円まで膨れ上がる。
これが最後の挑戦と覚悟を決め、安定した人気のスコーンを深堀りしていくことに。すると、その原点であるスコットランドのスクーン城にたどり着き、そこから英国菓子に興味が広がっていく。何世紀も変わらないレシピや伝統といった神秘性にハマり、店では全然売れなかったがとにかく作り続けて、売れ残ったものを食べる日々を過ごす。
そんなある日、東京の英国展に招待されてから人生が大きく動き始める。広島でも英国菓子が売れ始め、中でもファッジは借金を完済できるようになるまで経営の柱に成長。今では英国へファッジの取材へ行ったり、ファッジの歴史を調べることが大きな生きがいになっている。




コメント