月刊Fudge5月号「ファッジ、アメリカからイギリスへ行く」
- 直 野村
- 5月10日
- 読了時間: 3分
歴史
ファッジがどうやらアメリカで生まれたらしいことはわかりました。でもなぜイギリスでも作られるようになって、そして今ではファッジと言えばイギリスと言われるほど有名になったのかがわかりません。ハリーポッターの小説に登場したせいでしょうか?いやいや、小説にファッジが登場する以前から人気のお菓子だったので、もっと別の理由がありそうです。
アメリカでの砂糖と乳製品の普及
調べていくうちに、砂糖と乳製品の普及がファッジの人気と関係しているらしいことがわかってきました。ファッジを発明?した女子大学生がお菓子作りに失敗するより前の18世紀以前のアメリカでは、砂糖と乳製品は一部の限られた人のものでした。だからとても高価でした。それはイギリスでも同じで、砂糖の代わりに安価で手に入りやすい人参を使って甘みを出したり、バターの代わりに牛や豚の油脂を使っていたそうです。
このことを知るまで、「ケーキに野菜ってわざわざ入れる必要がある?」とか、「ミンスパイやクリスマスプディングに牛脂とかラードなんて意味が分からない」と素人のおじさん丸出しのノムさんでしたが、やっと納得しました。
それから19世紀に入るとカリブ海や植民地でサトウキビを量産し始めたり、酪農に力を入れて乳製品の加工技術が向上していきました。またそれらを運ぶための輸送システムも徐々に整い、価格も下がって広く普及し、人々の食生活を豊かにしていったそうです。もし砂糖や乳製品が希少で高価なものだったら、一般の人には手に入らないはずなので、そもそも女子大学生が失敗しようにもできなかったかもしれません。乳製品や砂糖がまだそれほど安価ではない時代に彼女はキャラメルづくりに失敗して、かなりショックだったんじゃないでしょうか。
ちなみにノムさんの失敗と言えば
やっぱりファッジほど失敗したお菓子はないです。
創刊号でも書いたように、えいや!で作ってうまくいったせいで、温度をきちんと測らず、あまりかき混ぜず、急冷もせず、物理的なショックも与えないまま感覚だけでファッジづくりを続けて、出来栄えにムラがありました。
去年、日本橋三越英国展に向けてファッジを作っていた時は、焦がしたり、固くなりすぎたり、もう散々でした。
隣の大家さんにも、近くの実家へも、「Fudge(失敗作)どうぞ」なんてとても持って行く気にはなれませんでした、、、。
イギリスでファッジが普及したのはなぜか
アメリカで砂糖や乳製品が普及し始めた頃、イギリスも同じく広大な植民地からの砂糖の安定供給と、酪農の発展、そして輸送・加工技術の進歩が相まって広く普及しつつありました。
産業革命によって人口が都市部に集中し始めると、それまでの食料供給量だけでは賄いきれなくなり、保存がきき、栄養価も高い、加工された乳製品の需要が高まりました。
また、労働者は健康に長く働くために栄養を確保する必要がありましたから、栄養価への関心が高まり、ますます乳製品が消費されていきました。
砂糖の消費は、植民地からの紅茶が大きく貢献しました。
ノムさんあこがれの銀食器にもシュガーポットがあるように、紅茶と砂糖は切っても切れない関係にあります。
英国展でしか見たことがありませんが、あんなに小さいのに、あんなに(値段が)してもいいのかと本当に余計なお世話ですが、いつもそう思って見ています((+_+))
話を元に戻すと、アメリカと異なり、紅茶の産出国であるインドやセイロンを植民地化し、本国に紅茶を送っていた点がどうやらファッジの広まりと大いに関係があったようです。
でも世界中の誰が食べても美味しいファッジが植民地と無縁ではなかってところは、なんかひっかかります。
ノムさんだけですか。
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